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21、パンツ戦士再び!

近頃はホンランが何かと忙しいらしく、のんびりした朝を迎えられる…
ではなくて、独りで狩りをする事が多くなった。
時間が合えば2人の方が楽なのだが、
互いに全く同じ生活をしている訳でもないので、こればかりは仕方ない。
そんな訳で、近頃は怨霊と対決する事にも随分慣れてきた気がする。

「さて、慣れて来たからと言って、大量虐殺に賛成ではないんだが…。」

今日の仕事は、通常の依頼ではない。
祖龍の城を束ねる夏風将軍が、多くの冒険者に依頼している類の依頼だ。
つまり、俺の冒険者としての技量を問うもの、とも言える。

「鉱物採掘場に群れる怨霊の所為で川が乱れ、街の治水に影響が出ている。
 どうにもツォンサン狼と白眼の狼が原因の様なのだ。」

そもそもは先日、ホンランと共にポイズンデッドを倒して回った事から始まる。
祖龍に上った冒険者が必ず一度は引っかけるポイズンデッドは、
城の周りに多く生息するアクティブの怨霊だ。
治安の為にとその数減らしを頼まれ、規定の25匹を倒して報告に行った所、
冒険者ならば治安の為の怨霊討伐は頻繁に行うべしと教えられたのである。
怨霊討伐隊をまとめているのはかの夏風将軍だ。
俺は渋々体格の良い将軍を訪ね、そのような依頼を賜ったのである。

(人に害を成すから倒せば良いって考え方は、どうにも苦手なんだ…)

それが綺麗事である事は分かっている。
だが、どうしても腑に落ちないで、それでも日々武器を取る。
冒険者なんて因果な職業なのに…どうして続けていられるのか。
勿論、あの人を探すには絶好の職業だ。
それに、生きて行く為には先立つ物も必要で、その為に依頼をこなさなければならない。
けれど、相手が何であれ命のやり取りが行われる。
この腕から繰り出される風の矢は、確実に何かを傷付ける。
何が正しくて、何が間違っているのか…
俺が冒険者として生きて行く理由は何なのか。
それが最近の、俺の悩みであった。
 
 
21、パンツ戦士再び!

狼の姿をした怨霊は気性が荒い。
俺1人で仕留めるのには骨が折れそうなので、ホンランに連絡を取る。
が、こんな時に限って音沙汰なしだ。…奴も忙しいのだろう。
少しだけ嫌な予感を胸に抱きつつも仕方なく、独りで鉱物採掘場に向かった。
指定された場所は思った以上に人の姿が多く、
あちらこちらで討伐と言う名の大量虐殺が行われている。
…斯く言う俺も今からその一員になる訳だが…。

(…気持ち悪い…)

むっとした熱気に混じって土埃と血の臭いが漂う。
戦場ならば当然の光景とは言っても、こればかりはどうしても慣れない。
流血を見て貧血を起こすだとか、傷口を直視できないタイプではないのだが、
どうにもこの鉄分の臭いや粘着性のある赤は苦手だった。
この赤は、一滴一滴が生き物の体で、懸命に駆け廻るものである。
持ち主の生命を維持する為に内側を廻るそれが外に流れると言うのは、
まるでその者の魂そのものが零れ落ちて行くようで嫌だ。
放っておいたら確実に、それは持ち主から失われて、命ごと取り落とすのだろう。
こんな赤い液体如きが…生命と言う名の、重い魂を支えているのだ。

(傷ついたら痛いに決まっているし、血が流れたら誰だって苦しい。)

だからこそ、それが「攻撃」になる訳で、それにより「斃れる」訳だが。
例えば今ここで生きている怨霊の群れが俺の害になるとしても、
怨霊の群れにとっては俺自身が「厄災」であり「害」そのものに違いない。

(どうしていきものは、何かを奪わなければ生きていけないんだろうな…)

例えば土地を、例えば資源を、例えば食料を、例えば命を。
誰も彼もがただ懸命に生きていて、それは人も怨霊も変わらない気がするのに。
それでも…やはり、俺も生きていて、何かから絶えず何かを奪っている。
今もこうして、俺の糧にするために、怨霊の命を奪う。
風の矢を詠唱する事が、苦痛だった。多分、この鉄臭く生温い風の所為だ。

(…綺麗事を言って感傷に浸っている場合じゃないな…)

俺は一度法剣を下ろすと、大きく深呼吸をして空を見上げた。
広くて青い空。日々繰り返される戦乱を覆うような、地上には緑。
今行う事の報いは、いつか俺自身に跳ね返ってくるだろう。
その日まで、ただ俺は俺の成す事を成すだけだ。
気を取れ直して、詠唱を始める。標的を竜巻で飲み込む。
傷を負った狼は、怒りの形相で俺に飛びかかって来た。
それに対して、今度は風の矢を放った。…そんな事の、繰り返し。

「――っ!?」

無心で狩る、と言うのは恐ろしい物だ。
はたと気づけば俺は、随分奥まで入り込んでいたらしい。
背後から、影が覆う。振り返れば、獣の顔を持った巨大な立ち姿…。
――長い槍を構えた剛力の怨霊、ウルフバトラーだ!
俺は慌てて身を翻した。今更逃げた所で間違いなく追って来るだろうが、
他にも沢山敵のいる不利な地で戦うより、もう少し開けた場所に行きたい。
何とか川縁まで引き連れて、風の矢を放つ。
同時に敵の槍が俺の左肩を打ち、激痛が走った。
痛みに気を抜いていたのでは此方が斃されてしまう。

(何だコイツ…随分、強い…!?)

対峙する相手の目には狂気が宿っていて、
正に「死に物狂い」と言った風に鋭い攻撃を繰り返してくる。
俺は折々に自分へと回復術を降らせながら這う這うの態で反撃を続けた。

「…迷惑だったらゴメンナサイっ!!」

自分の身を守る事で精一杯だった俺の耳元に、ふと若い声が届く。
何処かで聞いたような…爽やかで元気の良い少年の声。
音源を確認しようと顔を上げた俺の目の前で、ウルフバトラーが倒れる。
ビチャ、と嫌な音を立てて、怨霊の返り血が俺に降りかかった。

(…くそっ、気持ち悪いし眩暈がする…)

何とか危機を逃れた安堵と襲い来る疲労や痛み、
そして大嫌いなヘモグロビンの臭いに、思わず膝を着く。
自分で思う以上に体力を消耗していたのか、呼吸をするのも苦しい。

「ああっ、あああの、えっと…大丈夫?!」
大丈夫!?

倒れかかる俺の腕を誰かが引いた。温かな手の感覚。
視線を送れば、後ろに跳ね癖のあるプラチナブロンズの髪に、
大きくて穏やかな赤い瞳を持った少年が、心配そうに此方を見下ろしていた。
掴まれた俺の腕は彼の肩に回され、地面に伏すのを防がれている。
先程ウルフバトラーを斬ったのは、彼なのか…何処かで見たような…

「どうも有難う、…大丈夫です、助かりました。」

大きく溜息をついて何とか礼を述べれば、相手は安堵の表情を浮かべた。
それから照れたように、えへへと声をあげて笑う。

「よかったぁ…、カヤさん、死んじゃうかと思ったよ。」

彼は当然のように俺の名を呼んだ。驚いてその面を見遣る。
確かに聞いた事のある声だし、何処かで会ったような気がしたが…

(え…何故…――って、え……まさか…)

向こうの水面がキラキラと輝いた。遠くで亀が甲羅干しをしている。
何処かで見た光景…しかもつい最近…

「あー、あの…流血パンツの人…?」
「なっ!…酷いっ、ボクちゃんと名乗りましたよねぇ?!」

俺の台詞に、彼は顔を真っ赤にしながら口をへの字に結んだ。
どう見ても子供の行動だが…確か、名前はTagliss…
名乗った時にこの子、22歳とか言ってたような気が。

「済まない、本当に助かりました…ええと、Taglissさん?」

俺が確認するように呟くと、青年と言うより少年に見える相手は、
赤い頬を更に赤くして俯いた。

「あ、あの、どう致しまして、えっと…お城まで送るよ?」

赤面症なのか、人づきあいが苦手なのか、
こちらの一挙一動に態々赤くなる少年を見遣り、俺は思わず微笑む。
年下の人物に関わるのは随分久々な気がして、まるで彼が弟のように見えて。

「重ね重ね有難う御座います。
 …厚意に甘えて、手を貸して頂きます。ただし、立つ所までね。」

立ち上がる所まで手を貸して貰うと、
乱闘で着崩れた衣装をなおして相手を振り返る。

「お礼をしないと。――城に戻って、昼食でも一緒にどうですか?奢りますよ。」

長身の少年は一瞬戸惑うような仕草を見せた後、嬉しそうに頷くと、
返事も聞かずに歩き出す俺の後ろをパタパタと駆け足で追って来た。
そんな穏やかな遣り取りと裏腹に、辺りは変わらず戦乱の臭いに満ち溢れていた…。

Comment

2008.11.08 Sat 16:42  |  

┣¨キ(*゚Д゚*)┣¨キ
こ、今度は私が助けにいきますねっ(p`・ω・´q)

・・・・いや、違うなぁ。。。

・・・・すみません、
ドMなんでボコボコにしといてください、出れるのなら(*ノωノ)

  • #-
  • ツギメ
  • URL

2008.11.09 Sun 10:56  |  パンツキタアアアアア!!

そうそう、この界隈はいつも人がたくさん狩ってるよね。
つか昨日たぐさんが「パンツか…」としょげていたんだけど(笑)もう宿命でしょう。
たぐさん普通にカッコイイな!!ピンチに戦士が助けに入るっていいですな!!

  • #-
  • ホンラン
  • URL

2008.11.10 Mon 00:32  |  宿命…

パンツパンツ言われるから脱ぐの止めたら、今脱げ言われるし
カッコヨク助けに行ったらホ○臭い言われるし

どうしたら一般人になれますか。

  • #-
  • Tagliss
  • URL

2008.11.10 Mon 05:10  |  あれ?

真面目に読んでたら変わった単語が・・・・・・・・

あれ? ぱんつ・・・? いあ・・シリアスな感じしてたのに・・・・あれ?

・・・・・・・・・・いつもどおり?wwww

  • #-
  • Kyo
  • URL

2008.11.10 Mon 08:57  |  

タイトルから察するに、今日も笑えるお話かな……とか思ったら!
何かむっちゃシリアスですよ榧さん!!
うわ~、騙された――!ヽ(;´Д`ヽ)
しかしパンツ言われつつも、タグさんカッコいいすね~ヽ(*´∀`)ノ
どっかにいませんかねぇ、ピンチの時助けてくれる胸筋ステキな戦士さん…(オイ

そして毎度毎度、タグさんの挿絵に惚れぼれ……ヽ(*´Д`ヽ)
絵描きとしては、どうしても見ちゃいます(=´▽`)ゞ
レザーの質感とか迷彩柄とか……上手いよちくしょう(´・ω・`)

  • #-
  • エス
  • URL

2008.11.13 Thu 22:25  |  書き込み有難う御座います

いらっしゃいませ、ようこそ駄文の世界へ。

ツギメさん
助けにきて頂けるのは大変嬉しいのですが^^
女性をボコボコに出来るまでは俺もSを極めてないので…
勘弁して下さいwww

ホンちゃん
パンツ来たよ、父ちゃん!!
タグさんカッコいいのか変態なのかほ○臭いのか…
面白いキャラだから仕方ないね><b

タグさん
諦めて。

Kyoさん
シリアスと取るも、ギャグと受け取るも読み手次第…フフフ
いつもどおりだったり、いろいろ考えてみたりと、楽しみ方は多種多様です^^
俺の稚拙な文章を、楽しんで頂ければなによりです^^

エスさん
ギャップって大事ですヨ^^b
タグさんはパンツ戦士だけど、一応戦士の端くれですからね、
それなりにかっこよく書いてみました。
挿絵、良いですよね^^こればかりは感謝の雨あられです^^

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