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14、祖龍へ

一晩の宿を借りた礼に、学者の資料整理を手伝ってから村を出た。

「また会う事もあるじゃろう。それまで達者でな。」

意味あり気な笑みを浮かべるヨシュア翁と、

「今度一緒にダンジョン行きましょーねー!」

相変わらず爽やかで可愛らしく手を振る兄さんに見送られて。

(不思議なものだな…。)

これまで人と関わる事を避けて生きてきた俺が、
旅に出てからの短い期間でこんなに沢山の人と接している。
それを嫌だとか、恐ろしいとか思わないでいられるのは…

(出会った相手が良いんだな、屹度…。)

ふと、最近連絡を取っていない幼馴染を思い出した。
何かにつけて俺の世話を焼きたがる彼の、旅に出た理由を。

「榧もいい加減その人嫌いを何とかしないとなぁ…」

彼が旅立つ少し前にそんな事を言っていた。

「煩いな、別に君がいれば困らないのだから、構わないだろう?」

いつもの口答えを返せば呆れたような、はにかむような声で。

「…本当に、世話が焼けるったら――2人とも。」

苦笑交じりにそう呟いた事を。その後、自立の為と称して旅立った。
若しかしたら、俺に後を追わせる為だったのかもしれない…
だとしたら、俺はどれだけの愛情に支えられて今、ここにいるのだろう。

(祖龍の城についたら、まずはホンランに連絡しよう…。)

自分の不精を少しだけ反省した。
14、祖龍へ

低い所を緩々と飛行していると、大きな川が見えて来る。
あれを渡れば祖龍の城まではもう僅かだ。時間を確認する。
少し休憩を取っても差し支えはなさそうなので、川辺に降りて休む事にした。

(それにしても、暑いな…)

太陽の照り付ける水面はキラキラと輝き、遠くに甲羅干しをする亀の姿が見える。
長閑な風景。ほっとするのは、それなりに疲れていたのかもしれない。

(…ん?)

と、水中で何か揺れたような気がした。キラリ、と光が反射する。
水面の輝きとは違う、もっと人工的な反射光だ。目を凝らして眺める。
――ザパンッ!!!
すぐ目の前で水が大きな音を立てた。

(いっ!?)

そこには、人の姿。まだまだ成長過程と言った感の靭やかな肉体に、
輝く白いパンツを一枚だけ身に付けた、若い男が突然水から上がって来たのある。

タグさん初登場

「あ、…どうも、今日は!」

彼は唖然として言葉を失った俺の姿を認めて爽やかにそう言った。
長い槍をくるりと回して切っ先を此方に向けないようにし、
空いた片手で濡れた髪をかきあげ、にこりと微笑む。
その額からはダラダラと赤い血が流れていた。
何でパンツなんですか?とか、こんな所で水泳ですか?とか、
頭怪我してますよ?とか、訊きたい事は山ほどあったがどれも言葉にならない。

(なあ、ホンラン…俺は何から突っ込めば良い…?)

この場にいない幼馴染へと心の中で助けを求めつつ、
眩暈を堪えて取り敢えずヒーリングの重ね掛けをする。

「あの、…大丈夫、ですか?」

相手の額を汚す血が止まるまで待って尋ねた。
彼は相変わらず爽やかな様子で頷いて笑った。

「ハイ、大丈夫!…どうもありがとうございますっ。」

元気そうな声を聞いていると、何となく此方まで元気が出て来る。
どう見ても不審人物に違いないのだが、どこか憎めない。

「今日は温かですが、いつまでもそんな恰好では風邪をひきますよ…?」

荷物の中からタオルを取り出し相手へと差し出す。

「あ、どうもありがとう!」

彼は嬉しそうにそれを受け取った。距離を取り、改めて相手を観察する。
黙っていれば中々の美形だ。よく鍛えられた躯体は無駄のない筋肉に包まれ、
肌理細やかな肌は白い。そもそも色素の薄い性質なのか、
どちらかと言えば大きめの瞳は赤く、だが強い色の割に優しい印象を与える。
薄い金の髪は後ろに跳ね癖があるらしい。
水気を拭うと重力に反発して、まるでヒヨコのしっぽだ。

「あの~…僕、何か変なことしましたか??」

おずおずと尋ねる声。
相手は困ったような、恥ずかしそうな表情で此方を見ている。

(うん…まず服着てない時点で相当可笑しいよな…?)

そう喉まで出かけた所で辛うじて止め、

「い、否…失礼、こんな所で人に会うとは思わなかったので、驚いて。」

非礼を詫びつつしどろもどろに言い訳をした。

「なんだー、そっか。そうですよね、僕も人がいるとは思いませんでした!」

彼はにこっと何の邪気もなければ疑問も抱かない笑顔で右手を差し出す。

「僕はTagliss。種族は人間で職業は戦士の、ぴちぴち22歳です、ヨロシク!」

22歳…もっと若く見えるのだが、気のせいだろうか。
首を傾げながらもその手を握った。思ったよりも大きくて骨張った手だ。

(…長く旅をしているのだろうか…。)

温かな手の持ち主は相変わらずニコニコと穏やかな笑みを浮かべていて、
どことなく幼馴染を彷彿させる――パンツだが。

「俺はエルフの精霊師、榧と申します。以後お見知り置きを。」

手を放してから会釈した。Tagliss少年は照れたような微笑みで頷いた。

「えと…カヤさん…あの――それじゃ、僕はそろそろ帰ります、あ…」

それからいそいそと荷物を槍に括りつけて片手を上げる。動きがぎこちない。

「それじゃ、また!」
「え、また…って…あの…」

パンツ姿ですが?!――と突っ込む間もなく、突如目の前に現れた時同様、
爽やかに去っていく少年を俺はただ呆然と見送った…。

(あ、タオル…)

魚の跳ねる音で我に返った俺は、彼にタオルを渡した事を今更思い出した。

(まあ、いいか。…別に1枚くらいなくても困る物じゃない。)

元気を貰ったんだか吸い取られたんだか分からない状態に疲れを感じつつ、
目的地に向かって歩き出す。なんだか、飛ぶ気力も起きない。

「ホンラン、ホンラン…聞こえるか?」

緩々と歩きながら交流の箱を操作する。

――お、榧?珍しいな~、どうしたどうした?

相変わらず穏やかな、聞いている方が眠くなる風の暢気な声が聞こえた。

「あのな、今日、パンツ姿で頭から血を流してる人に会って…」

――………………。

「取り敢えずヒーリングをしたんだが、俺は間違っていたのかな…?」

Tagliss少年に出会った話を極力簡潔に、且つ分かり易く話す。
ホンランは暫く黙った後、

――…イ…イイコトシタネ、榧…榧も精霊師らしくなって来たナ…

酷く棒読みに聞こえなくもないが誉められたので、間違いではないらしい。

「そう、か…うん、それなら良いんだ。」

何となく納得して頷く。箱の向こうでは沈黙が続いている。

「嗚呼、そうだホンラン。」

俺は思い出したように声を上げた。

――ん、何?

「もうすぐ、祖龍に着く。」

遠目にも高い高い壁が見えて来る。

――ついたら教えて、迎えに行くよ。

申し出には、肯定の返事をして通信を切った。
地図を確認すると、もう祖龍の西近郊に入ったようだ。街道を真っ直ぐ進む。

(…あれが――)

暫くすると、巨大な石像と城門が見えた。辺りを沢山の人が行き来している。

(とんでもないとこに来たな…)

俺は言葉を失い、ただ呆然と強大な城壁を眺めていた。


※今回の挿絵はヌサさんに描いて頂きました!今後とも宜しくお願いします!

Comment

2008.09.11 Thu 07:40  |  

パンツキタァァァ!!!

  • #-
  • ホンラン
  • URL

2008.09.11 Thu 11:44  |  ぱっ

ぱんつきたぁぁぁぁぁ!!!

挿絵が爽やかすぎて尚更笑いを誘います…(笑)
あ、なんかタグさんに会いたくなってきた。

ふふふ。榧さんもいよいよ祖龍デビューですなぁ(*´ω`)
今後も楽しみです!

2008.09.12 Fri 00:08  |  公式ユニフォーム

ビオレママ…ボクパンツデビューしちゃったよ…。

>あいにゃんさん
今はズボン穿いてますからね!念のため(笑)!!

  • #-
  • Tagliss
  • URL

2008.09.13 Sat 12:29  |  書き込み有難うございます

ようこそ、駄文の世界へ…。

ホンちゃん
きたよ!爽やかパンツ戦士だよ、父ちゃん!!

藍羽くん
楽しんでいただけてなによりです!
いずれ君にも御出演頂く事になるので…お覚悟を。

タグさん
デビューおめでとう!
そしてネタとイラスト有難う。
そんな君が好きだよ。www

  • #-
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